FAQ

医師としてこれから歩み始めようとしているみなさんの素朴な疑問に対して、現在まさに活躍している外科医たちが答えます。みなさんの人生設計のヒントになることを願っております。

Q1.初期研修病院の選び方を教えて下さい。
A.

人によりポイントは異なると思いますが、私の場合はまず第一に初期研修終了後に消化器外科にすすむことを想定して初期研修病院を選択しました。私の選択した病院は消化器外科の先輩たちが多く、たとえ研修医であっても様々な手術を含めた手技を経験できることや、当科のプログラム上、初期研修終了後の1年間も同病院で継続して上司の先生方に指導していただけることが決め手となりました。また、研修医として身につけておきたいのが救急外来の対応です。私の研修病院は全科当直であり、基本的にはどのような患者が来院しても対応できるようなスキルを身につけられると考えたこともポイントの一つとなりました。

以上より、私の経験からですが初期研修病院の選び方としては、①今後の選択科を想定し、より経験を積める施設であること、②救急外来の対応ができるようになること、が選択のポイントとなりました。まだ、将来の進路を決めかねている学生さんも多いと思いますが、研修病院選択の一助となれば幸いです。

(2011年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

最初の2年間は何でも診る医師になりたいので初期対応から入院退院までの一連の流れを学ぶことができ、救急患者さんが多い市中病院を選びました。研修医だけで救急外来を診るのではなく、総合診療科、救急診療科のDrがBackupでついているのでいつでも相談できるシステムがあり、心臓血管外科に進むことは決めていたので循環器疾患の緊急が多く循環器内科外科がactiveなところを選びました。市中で研修しながら大学で専門的な研修を行えるのも魅力的でした。他の医療従事者や病院内があいさつで溢れているところも魅力的でした。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

これといったポイントはないと思いますが、志望科があるかどうか、志望科が決まっていなければ広い選択肢を残せるかどうか、他には救急研修の形態、研修以外の勉強会の有無、先輩や同期との関わりなど、自分で納得できるところを選ぶといいと思います。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

医者として一般的なことを広く勉強したかったのと、合わせて心臓血管外科に進もうと思っていたので、心臓血管外科についても勉強できるような病院を、という観点で選びました。

(2010年卒・心臓血管外科専攻・女性)

A.

個人的な経験としては、外科に限って言えば、やはり若手の登竜門である、虫垂炎や脱腸を多くやっている施設の方が良いと思います(2外科圏内ではむつ、青森市、大館、函病とかくらいですか?)。自分の初期研修を振り返ると、『初期研修』という一種の『モラトリアム』を利用して、自分の進みたい科とはちょっと毛色の違う科(たとえば眼科とか皮膚科とか)で見分を広めようという意気込みで、色々手を出していって、結局なんとなく見たぐらいにして、中途半端に終わり、自分の進むべき科での修練が遅れた。という印象があります。それからは後輩には、限りなく早く自分の進みたい科での研修をするように強くすすめています。したがって、進みたい科が決まっている方は、極端な話、その科があればどこでも良いかと思う。また、進みたい科が決まっていない方は診療科が充実している(=選択肢の多い)病院を選択するのがいいかと思います。

(2010年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

皆さんは大学病院か、市中病院か、で悩むところだと思いますが、それぞれメリット・デメリットは存在します。自分の将来の医師像を具体的に考えて選ぶのがいいと思います。どの診療科に進みたいのか、どのような臨床経験を積みたいのか、場合によってはどのような研究がしてみたいのか、医師としてどのようなキャリアパスを考えているのか、など具体的に思い浮かべて、それが実現できそうな納得できる病院を選択すべきだと思います。もちろん、研修のハードさや待遇の面を考慮するのも大事です。各病院では研修プログラムや、その病院の特徴をweb上で公開しているところが多いですが、実際に病院見学に足を運んで雰囲気を肌で感じることも重要だと思います。

(2004年卒・乳腺外科専攻・女性)

Q2.新専門医制度になった場合、外科系専門医を目指す医師にとってデメリットはありますか。
A.

特にありません。消化器外科はもともとどこの施設でも教育体制がしっかりしています。したがって、新専門医制度になったとしても、教育体制が大きく変わることはないと思われますので、デミリットとなる点はないと思います。新専門医制度により明確なプログラムができあがることは、外科医を目指す人にとってはメリットとなると思います。

(2005年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

新しい制度でも、まずは外科専門医をとることになるので、あまりデメリットを感じることはないと思います。敢えて言うなら、消化器の症例が増やしにくいとは思いますが、ここのプログラムは心配ないです。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

消化器外科研修を求められる分、スタートが遅れるという意見もありますが、私はそうは思いません。消化器外科研修をすることで、心臓血管の世界しか知らない外科医よりも外科医としての視野が広がったと思います。

(2010年卒・心臓血管外科専攻・女性)

Q3.外科専門医になる場合、症例は青森だけで足りますか。
A.

外科専門医になるための症例であれば十分に足りると思います。私はまだ専門医ではありませんが症例数に関してはなんら問題なく条件をクリア出来そうです。さらに諸先輩方の話を聞けば、外科専門医としてだけでなく、外科医としても十分なスキルを持つ事ができる環境にあるんだと思います。

(2013年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

現状県内で外科を目指す人が非常に少ないので、足りないどころか多くの経験を積めるチャンスだと思っています。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

Q4.女性医師が仕事と家庭を両立する際に大変であったことは?
A.

大変なことだらけですが、一番は子育てとの両立。不在にしている時間が長くなると子供の精神面でのケアをしにくくなることが一番大変です。小さいうちはまだ良かったのですが、成長するにつれその点を痛感します。

(2004年卒・消化器外科専攻・女性)

A.

時間のやりくりです。それにつきます。しかし、やはり基盤は家庭で、家庭が明るくいれれば仕事も頑張れると思います。自分はうまく時間のやりくりができず、家庭内が大変な時期がありそれを痛感しました。

(2009年卒・消化器外科専攻・女性)

A.

主治医制ではなくチーム制で患者さんをみるようになれば少しは負担が改善されるのではないかと思います。

(2009年卒・心臓血管外科専攻・女性)

Q5.お酒を飲んだりする時間はありますか。
A.

お酒を飲む時間も、好きなように勉強する時間もたくさんあります。緊張感をもって手術に臨んで、手術がない日は病棟業務が終わればアフター5を早くから自由にできるのは外科の醍醐味だと思います。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

あります。大勢での飲み会もひとり晩酌も可能です。

(2010年卒・心臓血管外科専攻・女性)

A.

お酒を飲む時間は学生の時よりは明らかに少なくなっています。その代わりに、いわゆる「良いお酒」を飲む機会が増え、何か達成感にあふれている時に飲むお酒はまた一段と美味しいものです。確かに「飲む時間」は少なくなりましたが、その分「密度の濃い、良い時間」を感じています。

(2004年卒・消化器外科専攻・男性)

Q6.外科と救急科とダブルボードを目指す場合、連携はどのようになっていますか。
A.

外科と救急科のダブルボードが取得できるシステムの構築が検討されています。協議中の段階です。

(1999年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

心臓血管外科は救急患者対応が多い領域ですので、IABPやVA-ECMOなどの挿入といったスキルは活かすことができると考えます。

救急専門医までの取得となると救急診療に重きを置く期間が必要だと思います。また、幅広い知識が必要になりますので救急患者が多く集まる病院で修錬することが必要になるかもしれません。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

卒後10年目弱になってくると救命センターへのローテーションが回ってきます。そこで救急について勉強できるのではないかと思います。あとは通常業務の中でIABP、PCPSといった補助循環機械や全身管理に関わる機会が多いので、そういった経験も救急診療には役立つのではないでしょうか。

(2010年卒・心臓血管外科専攻・女性)

Q7.小児外科は弘前で経験をつめますか。
A.

つめます。青森県内の小児外科疾患のほとんどを弘前大学がカバーしているので、年間の手術件数は少なくはありません。さらに、いわゆる関東の小児病院のように小児外科医の数が多いわけではないので、今は狙い時です。そもそも経験をつめるか否かは個人のやる気次第な気もします。

(2011年卒・小児外科専攻・男性)

A.

青森県で「小児外科」を標榜している施設は2施設のみ(当院および八戸市立市民病院)です。そのため県内での症例は必然的に集約されてきます。また地理的要因から秋田県北地域からの紹介症例も当院で診療しています。具体的には手術件数200件/年、うち新生児手術15件/年、前後の症例数が経験できます。一方で、少子化に伴う今後の症例数の減少の可能性は否めません。しかしこの潮流は、多少の程度の差こそあれ、全国的にも同じく言えることでしょう。研鑽を積むために国内留学という形でhigh volume centerである小児専門施設での研修も可能です。

(2008年卒・小児外科専攻・男性)

Q8.卒業時の年齢がいくつまでなら外科をやれますか。
A.

やりたいと思えば何歳でも遅いことはないと思いますが、自分なら30歳を過ぎていたらどうしたかはわかりません。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

年齢は関係ないと思います。何故かと言うと10年経つと、一般外科医としては同レベルに達します。実際に30代半ばで医師1年目となった人物も立派に外科医になっております。

(1998年卒・呼吸器外科専攻・男性)

Q9.どんな時に喜びを感じ、どんな時につらさを感じますか。
A.

喜びはやはり目の前の患者さんに対して治療がうまくいった時です。薬物治療であれ手術であれ、困っている方の症状を改善することができた場合は非常に喜びを感じます。一方で、手を尽くしても救うことのできない患者ももちろんやってきます。自分の知識や先輩に助言をいただきながらも病状の進行から重症度などから患者さんを助けられなかったときは非常につらいものです。しかし、落ち込んでいる暇はありません。次に同様の患者さんを目の当たりにした際にその患者さんを助けるべく、自らの苦い経験を無駄にしないよう日々を省みて診療にあたることが大事だと考えております。

(2010年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

食事をとれなかった患者さんが食べられるようになると喜ばしいです。

(2003年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

自分の勉強が足りないなと感じるとつらいですし、自分の進歩が感じられると楽しいです。

(2015年卒・心臓血管外科専攻、男性)

Q10.消化器外科や心臓血管外科などの外科系診療科の仕事はこれから増えていきますか。
A.

増えます。弘前大学消化器外科関連病院で大腸癌1400例、ヘルニア1200例、胆石900例、胃癌800例、乳癌800例、虫垂炎400例、その他外傷、急性腹症、肛門疾患など一般病院で主に行われる約6000例が関連病院で行われています。薬剤で治らない病気、手術で根治する病気がたくさんあり、高齢者が増える中、仕事は増えます。知識のみならず、技術、判断力、そして患者を思う心が、人を傷つける外科医には必要で、そういう人を目指す方を求めています。

(2001年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

内視鏡的な縮小治療や、抗癌剤治療が発達してきているので、外科医の仕事が増えることはないと思いますが、一方で手術がなくなると言うことは絶対ないです。むしろ、外科治療も日々進歩しており、腹腔鏡手術やロボット手術など、新しい手術が増えているので、仕事の量は変わらないにしても、質としては増える可能性があります。

(2003年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

増えると思います。単純に仕事量が多くなるというより、医療機器の進化で手術の幅が広がってくると思います。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

A.

今後どんなに内科治療やカテーテル治療が進歩したとしても今やっている手術は無くならないと思います。また、ステントグラフトなど新しい分野も生まれてきており、外科医ができることの選択肢や持ち駒は増えていくのではないかと思っています。

(2010年卒・心臓血管外科専攻・女性)

A.

高齢化が進み生活習慣病の患者さんも多いので、心臓血管外科の仕事も増えていくと思います。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

Q11. 現在の専攻科に決めた理由はなんですか。
A.

私は単純なので、手術がかっこいいと思ったことと、普段から飲み会まで雰囲気がよく楽しかったため、学生時代から興味がありました。研修医になり実際診療に参加することで、管理の難しさや手術の大変さがわかりましたが、必要とされている感とやりがいが十分で迷いなくこの科に決めました。

(2010年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

自分ははじめから消化器外科ではありませんでした。いろいろ迷っていましたが、3年目には放射線科の診断やIVRを後期研修でやっていました。というのも今後、科を変えたとしても、読影やIVRで得られたものは医師人生として無駄になることはないと考えていたからです。しかし読影をやればやるほど、その読影結果が実際どのような所見であったかをフィードバックする機会がありませんでした。そしていつしかCTの読影結果の答えが知りたくなり、ふと出会った外科医が「外科医しかお腹のCTの結果を知ることはできない、最後に人を救えるのは外科医だ」という言葉に背中を押され、外科の門をたたきました。

(2009年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

実際に心臓が動いている様子に感動して、手術でしか治療できない患者さんを治療をしたいと思ったからです。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

Q12. 大学院って何ですか。入らないといけないのですか。
A.

大学院での最終的な目的は学位(医学博士)の取得です。人によって様々ですが、いったん臨床を離れて基礎講座や消化器外科の講座で研究を行い、論文としてまとめて学位取得を目指します。学位を取得することで今後のキャリアにどう影響するか私はまだ分かりませんが、実際は学位取得までの過程が大事であると思います。大学院でやっていることは勉強と研究ですが、研究内容が自分の興味ある消化器の分野であり、医学部の学生時代とは違ってある程度知識のある状態なので理解も早く面白いです。文献検索や研究手法を学ぶと、自分の分野の現状がわかり、まだよくわかっていないことを自分で解明する楽しみもあり、より一層知識が深まって物事をみる視点が増えると思います。おそらくそういった知識や視点が最終的には患者にも還元できると思います。

消化器外科では、前述のような理由で基本的に大学院入学と学位取得が必要です。 (生活面では、臨床よりは時間を作ることができるため、今後の医者人生の中で数少ない家族との時間をもてます。

(2002年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

強制ではありません。しかし医師というキャリアを考えた時、論理的に物事を行う過程が身につきます。学位と取るためにいろいろ苦労している方が多いですが、決して今後の人生でマイナスになることはないと思います。金銭的にはマイナスですが、得られた知識はPricelessです。

(2008年卒・消化器外科専攻・男性)

A.

自分の専門分野に関連した医学研究を行います。より良い医療の提供にもつながりますし、自分の知識や専門性を高めることができるので入るメリットは多いと思います。

(2015年卒・心臓血管外科専攻・男性)

[ 弘前大学外科専門医研修プログラム統括 ]

弘前大学大学院医学研究科消化器外科学講座内

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